山陰柴犬の特徴

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山陰柴犬の特徴

Features

山陰気質

厳しい山陰地方の冬、春を待ちじっと耐え抜く芯の強さと寡黙さ
そんな山陰地方の気質を体現したかのような山陰柴犬。
鳴くのではなく、じっと家人の目を見つめ意志を伝えようとする瞳に山陰気質が感じられます。
 

 

山陰人が愛した気質と雰囲気

 
山陰柴犬はかつてアナグマ猟で活躍した因幡犬がベースとなっています。猟師である主人の心を読み、深い下生えをものともせずに勇敢に野山を駆け、獲物の狭い巣穴に潜り込んで狩りを行っていた当時の姿と気質を受け継いでいくことに留意して保存されてきました。
 
他地方と比べて降水量が多くカラッと晴れた日が少ない山陰地方の人は、一般に口数少なく忍耐強いと表現されます。そんな山陰人が愛した山陰柴犬もまた普段は物静かで落ち着いた雰囲気を漂わせる犬です。感情を吠えて表すことは少ないですが、嬉しい時は尾だけでなく全身で喜びを表す愛らしさを持っています。かと思えば気が乗らない時は素っ気なさをみせる。そんなところもまた魅力です。
 
元来の猟欲の強さから、獲物と認識したものが射程圏内に入るや稲妻のような反応を見せることや、自身が守る家に人が来た場合などに吠えることなどから、この動と静のコントラストが非常に印象的です。

こうした気質により、家人や我が子にはとても愛情深く、従順でいたずらに騒いだり吠えたりすることがないことから、放し飼いがごく当たり前だった時代から好んで残されてきたと思われます。

 
 
 
 

しょうからな子犬時代

 
大人になってからのどっしりとした性格から想像がつかないほど、子犬時代はしょうから(やんちゃ)な山陰柴犬。歯の生え変わる時期には噛む噛む噛む!これでもかと噛み、走り大いに遊びます。
 
噛む力も大変強く、一般的な犬の玩具を数日、数時間、ものによっては一瞬で破壊することもしばしば・・・。一定の時期を過ぎるとやんちゃっぷりはぐっと落ち着き。山陰柴犬本来のどっしりとした性格へと変わっていきます。
 
山陰柴犬を迎えられるご家族様には、この愛すべきしょうからを気長に温かく見守って頂ければ幸いです。

 
 
 

山陰柴犬の鳴き声

 
無駄鳴きをせず、家人に危険を知らせる時などの警戒時以外は吠える時でもしつこくしない山陰柴犬の声は太く男性的です。
スリムな身体から発せられるとは思えない、腹に響くような短く太くどっしりとした声は山陰柴犬ならではの魅力です。
 
可愛らしい子犬が低く太くウォウと吠える様子に、初めて鳴き声を聞いた飼い主様が驚かれることがあります。甲高い鳴き声は耳につくものですが、たまに聞くことのできる低く迫力ある声はやはり山陰柴犬のものです。
 
山陰柴犬の遠吠えは、吠えるのではなく音程をとるように歌う個体がしばしば見られます。低い鳴き声とは打って変わり、歌うように響く声は特徴的です。
 
子犬の遠吠え キナコの遠吠え

 

容姿・外見的特徴

 
口角が上がるとにっこりと笑ったように見える大きな口、くっきりとした口周りの黒い色はゆっくりと時間をかけ薄くなっていきます。真っ直ぐ向いた耳は嬉しいと後ろにぺたりと倒れ、時にはつぶらに時には大きく開く目がくるくると動き、大変表情豊かな犬種です。
 
山陰柴犬は、アナグマ猟の形態を考えるととても理にかなった容姿をしています。小さめの頭部とスリムで引き締まった筋肉質の身体は、獲物が潜む狭い巣穴に潜り込むのに、そして深いブッシュをかき分けて進むのに適しています。また、顔の幅から外に出ない耳や関節の付き方も同様です。
さらに他系統と比べて出現比率の高い差し尾は、遠目でも猟師が犬のサインを視認しやすい利点があります。尻尾については巻き尾であっても緩い巻き個体が多く、実用上こうした点が好まれたことが伺えます。


 

 

山陰柴犬の毛色と鼻ハゲ

 
毛色については赤のみで、やや淡い色の個体が多く、後頭部から背中、腰にかけてひと刷毛塗ったように濃いところなどは、他系統と見分ける上でわかりやすい特徴です。
 
毛色のごく淡い赤毛を淡赤(うすあか)といい、他系統でもみられますが、山陰柴犬の淡赤はこうした毛色でありながら眼や口吻の縁、鼻、爪などの色素が黒く濃いのが特徴です。
また、成長とともに少しずつ毛色が濃くなるこの不思議な淡赤の山陰柴犬はなかなか子に現れず、現在数頭しかいません。
 
山陰柴犬は、全ての個体ではありませんが、春になると鼻の上の毛が薄くなる特性を持ちます。鼻ハゲの愛称でも呼ばれ、山陰地方の大地に春が訪れるかのような様子は、春の風物として飼育者の間で楽しみとなっています。

特徴的な背中の濃毛

希少な淡赤

淡赤と茶の子犬

愛すべき春の鼻ハゲ

散歩の量と食事

 
山陰柴犬は柔らかな身体と筋肉。瞬間的な瞬発力、豊かな運動能力を持った犬種です。猟犬としての血統であることから、日々の運動量を必要とします。朝夕、しっかりとした距離の散歩、運動をして頂けることが望ましい犬種です。
 
また個体差はありますが、生野菜や果物を好んで食べる個体が多く見られます。運動量が多いためか、しっかりと食べても細身のままの個体も多くみられます。

 

出産と成長

 
山陰柴犬は一回の出産で平均2~3頭の子犬を産みます。4頭産むことは稀で一般に少産です。しかも発情も正確に年2回来ることは少なく、なかなか頭数が増えないことにはこうした理由もあります。お産は軽く、出産に際して飼い主が手を貸すことは何もありません。

成長については明らかに晩成型であり、生後4カ月頃から一度体型が崩れます。脚や耳ばかりが目立って伸び、「バンビ」と表現する人もいますが、生後7カ月頃をピークとするこの体型の崩れは徐々にまとまり始め、1歳頃には何とか犬らしい姿となります。それでも頬や胸部が張り本来の充実した姿となるのに3~5年を要します。

子犬はかわいいものですが、山陰柴犬を飼う醍醐味は子犬期や若犬期を過ぎてからにあり、年齢を重ねるごとに味わいを増す姿は格別です。

お母さんの愛情に包まれてすくすく

どろぼう顔の幼犬期

やんちゃ盛りの子犬期

生後6ヶ月のバンビ期